描述
キャプテン・フューチャーが帰ってきた!
といっても、続編や模作(パスティーシュ)の形で、なつかしのヒーローがよみがえったわけではない。基本的な設定はそのままに、細部を現代風にアレンジして、物語を一から再起動する手法――ハリウッド映画やアメコミではすっかりおなじみになった“リブート”――を用いた作品が書かれたのだ。したがって、正確にいえば、二十一世紀にふさわしい新たなキャプテン・フューチャーが誕生したのである。
しかも、作者はリアルな宇宙開発ものを本領としながら、キャプテン・フューチャーを愛するあまり、オマージュ作品「キャプテン・フューチャーの死」(本物のキャプテン・フューチャーは出てこない)をものしたアレン・スティール。とすれば、期待するなというほうがどうかしている。
じっさい、原書を読んだときには、原典の要素を巧みにとり入れながら、自分の得意分野である宇宙開発ものに作品世界を引き寄せ、波乱万丈のストーリーを紡ぎだした作者の手腕にうなったものだ。登場人物はもちろんのこと、ちょっとした固有名詞にも由来があって、いちいちうなずいたり、ニヤニヤしたり……。
おっと、つい話が先走った。あらためて、原典となった《キャプテン・フューチャー》シリーズについて説明しておこう。