描述
『銀鉱脈の地下牢獄』
かつて「銀鉱山」で繁栄し、富を得た「銀色に輝く国:アルジョン」。
その地下には、巨大な迷宮の様な地下世界が広がっていた。
古の賢者がたまたま発見したその”銀鉱脈”は、アルジョンの国土の30%を占める程の広大な物であり、当初は「聖なる銀」の力を崇める賢者たちが訪れる聖域であったが、富裕層による乱獲が始まり、アリの巣の様に無尽蔵に採掘されていった。
炭鉱のごとく広がり続けたその地下の世界は、広大な面積に及び、当初は「銀掘り」と呼ばれる労働者だけの世界であったが、利権を求める強欲な王族が介入し、「この地域は自分のモノだ」と言わんばかりに掘り進めた。さらにはその「巨大な地下の大空間」に「自身達の居住区」を建造し始めた。
彼らはその空間に陣取り、衛兵を立て縄張りを主張し、他者の侵入を許さなかった。
それはまるで地下世界には不釣り合いな巨大な空間に鎮座する「宮殿」の様であり、やがて彼ら王族は地下世界で生活するようになっていった。
”アルジョンの王族は地中の闇に笑う”
人々の間ではそういう逸話が広まっていった。
やがて「灰の大戦」が始まり、「銀の魔力(価値)」が無に等しくなった時、地下世界は次々と放棄され、再び本来の”闇の住人の手”に戻って行った。
地上では、その乱世に乗じて反乱や略奪を起こす犯罪人がはびこるようになり、用途の無くなったこの「深い地下世界」に「封じ込めようとする動き」が出始める。
「アルジョンの銀鉱脈の地下牢獄」の誕生であった。
かつて侵入者を監視する為の宮殿は「監視塔」の役目を果たし、銀採掘で掘り起こされた「無数の穴」は、そのまま「自然地形を利用した牢獄」と化した。
その牢獄に封じ込められた罪人は、その時の中で「牢獄の壁面に含まれる銀成分」に浸食され、体表を”銀の結晶”がびっしりと埋め尽くし、やがては内臓までもがその成分で埋め尽くされ息絶える。
そんな”自然の拷問”に侵されて静かに死んでいった囚人たちであったが、全てを銀で侵された死体は「腐敗する事が無い、燻し銀に光る芸術品」の様な貴重品として取引される様になる。
「灰の暗黒時代」においてアルジョンの銀の価値が復活した「闇の財源」がそれであった。
その内、こうささやかれる様になった。
”その身体を永遠のものにしたいならアルジョンの闇に潜れば良い”